COO INTERVIEW

HRテクノロジーで社会問題を解決するビジネスの魅力

PROFILE

プロフィール

    HRソリューションズ | 大藪貴之プロフィール

    大藪 貴之

    取締役COO 兼 人財開発室長

    大学卒業後、新卒でリクルートに入社。販売促進領域で約2年勤務したのち、ベンチャー・リンク勤務を通じて、十数社の役員・顧問などを歴任。その後、HRソリューションズに入社。


リクルート、十数社の役員を経て見えた、社会課題

― 本日はよろしくお願いします。はじめに大藪様のご経歴を簡単にお伺いさせてください。

大藪  私は大学を卒業後、新卒でリクルートに入社しました。リクルートでは販売促進領域で、営業の仕事をしておりました。
リクルートは2年ほどで退職し、その後、飲食業や訪問販売業などを経て、30歳を迎える少し前に、ベンチャー・リンクという会社に入社、10年ほどチェーンストア企業の上場のお手伝いなど、コンサルティング業務をしていました。
次々と新しい仕事が生まれる職場でしたから、とにかく機会があれば手を挙げ、挑戦し続けていると、年々、役割も領域も広がっていきました。
10年が経ち、当時のベンチャー・リンクにおける自分の役割に区切りを付け退職し、フリーランスの個人コンサルタントのような働き方をし始めたタイミングで、リクルート時代の同期であった、当社代表の武井(HRソリューションズ創業者)と話す機会がありました。
武井とはリクルート退職後も、しばしば会う機会がありましたが、HRソリューションズのビジネスについて深く話を聞いたのは、このときが初めてでした。

― 個人コンサルタントをやめ、HRソリューションズに入社されることになった理由はなんでしょうか?

大藪  当時(2008年頃)、HRソリューションズがやろうとしていた新規事業が、非常に社会的価値が高いと感じたからです。これから近い未来に必ず起きるであろう、社会の問題と向き合い、それを解決し得る事業であれば、必ず世に求められ、事業も会社も成長するだろうという確信を覚え、入社を決意しました。
今でこそ、サービス業の人手不足が連日、ニュースになっていますが、当時は誰もそんなことを問題視していませんでした。人手不足どころか、リーマンショックの影響で2009年から暫くは、「人手が余っている」と言っても過言ではない状況でしたから。
しかしながら巨視的に考えれば、第一に「生産年齢人口は減少していく」ことが決定づけられており、第二に「日本の雇用は、ますますサービス業が中心となる」ことも確実視されている以上、遅かれ早かれ、日本のサービス業が人手不足になることは明白だったのです。
当社が「サービス業のアルバイト(非正規雇用)採用を最適化するWEBアプリケーション」を提供し始めたのは2008年でしたが、2014年には大手の牛丼チェーンや居酒屋チェーンが人手不足で店舗運営に支障をきたしたことがニュースになりました。その後は、ファミリーレストランの24時間営業とりやめ、宅配便事業者がECサイト商品の当日配送を断念、など「人手不足ニュース」が連日、メディアを賑わすようになりました。
「確実に起きるであろう、近い未来」に備え、「予め、社会の問題を解決し得るサービス」を開発することが、当社事業の根幹であろうと考えます。

― その解決策が、「サービス業」✕「非正規雇用」だった。

大藪  はい、そのとおりです。

非正規雇用領域が生み出す可能性

― 「サービス業」✕「非正規雇用」ですか。それはどういった理由だったのでしょうか?

大藪  人手不足が問題であるとしたら、「労働者を増やす」ことと、「労働者一人当たりの生産性を向上させる」ことの、両方が必要です。
まず「労働者を増やす」ことから考えると、人口を急激に増やすことが困難である以上、「いまは働いていないが、働ける」「いまは働いていないが、機会があれば働きたい」といった、「潜在的な」労働力の方々に活躍いただくことが、解決策です。
「サービス業」✕「非正規雇用」は、そういった「潜在的な」方々が、「働き始めるきっかけ」を受け止めるに相応しい職場と言えます。
実は、生産年齢人口が1995年以降、減少し続けている一方で、「日本で実際に働いている人数」は2012年以降、毎年、増え続けています。その原動力は、「潜在的な」労働力であった方々が、顕在化し、サービス業に非正規雇用者として就労していることにあるのです。

日本の総人口と就業者数

大藪  一般に、非正規雇用というと、「正規雇用になれなかったから仕方なく」とのイメージが在るようですが、内閣府の調査によれば、そういった方は少数派です。「自分の都合に合わせて」「好きな時間に働きたい」と、自らの意思で積極的に非正規雇用を選択する人が増えているのです。
当社は日本中の、小売、飲食、宿泊、教育、美容、運輸運送、医療介護福祉、といったサービス業の非正規雇用を支援しており、この大きな潮流に対し少なからずプラスの影響を発揮しているという自負があります。
次に「労働者一人当たりの生産性を向上させる」ことについて、触れましょう。周知のとおり、日本は「労働生産性が低い」とされています。その原因は、各所で論じられていますので割愛しますが、一つだけ、統計に現れている事実をご紹介します。
「就業者のうち、非正規雇用が占める比率の高い産業分野は、特に労働生産性が低い」のです。つまり、先に挙げた当社の支援先企業の多くは、例えば不動産業、金融業、保険業、エネルギー産業、といった産業分野の企業と比べると、非常に生産性が低い傾向にあります。
ということは、「サービス業」の「非正規雇用者」の労働生産性が向上すれば、日本全体の生産性向上に大きく寄与できる可能性があるのです。

就業者1人あたり労働生産性

大藪  HRソリューションズは、顧客企業に就労する非正規雇用者の方々が、入社後、仕事を覚え、楽しく長く働き、結果として労働生産性が向上するようなサポートをすることで、日本の「人手不足」問題を打破しようと考えています。
そしてその先には、一人ひとりの選択肢が拡がり、誰もが、自分らしい働き方ができるような社会を実現できるのではないかと。

― つまり、非正規労働者の労働生産性を向上させることが、人手不足の解消につながり、労働環境の整備や経済の発展につながると。

大藪  はい。労働生産性を高めるとなると、先ずは正規雇用者のことを考えがちですが、日本の人手不足を解決するための大きなカギとなるのは、非正規雇用者の活躍であると、当社は考えています。
非正規雇用という働き方を選んでいる人が年々増加しているにも関わらず、正規雇用者と比較し、非正規雇用者の労働環境はまだまだ未整備で、伸びしろが非常に大きいと言えます。この伸びしろを活かせば、労働生産性は飛躍的に向上する筈です。
「サービス業」✕「非正規雇用」の領域で、労働生産性向上に寄与できるとしたら、社会に大きな貢献ができると言えるのではないでしょうか。そして、生産性向上の先には、「企業の利益向上」と「個人の収入向上」が同時に実現する社会の到来です。
これからの日本が、人口減少とともに衰退するのではなく、より豊かになっていくためには、一人ひとりの生産性をあげ、一人あたり収入を向上させていく必要がある。そしてそのためには、非正規雇用で働く方々が、いきいきと活躍し、しっかり稼ぎ、消費し、納税できる社会を実現したいと、当社は考えています。

― 非正規労働者の働く環境を整えることが、日本の社会課題の解決につながると。具体的にHRソリューションズでは、どのような事業を行なっているのですか?

大藪  アルバイト・パートさんの採用と雇用に関わる、様々な業務をWEBアプリケーションで支援しています。「採用」と一口に言っても、募集、応募受付、面接調整、選考、入社手続、導入研修、など分解すると多岐に渡る業務が発生します。その一つひとつを合理化し、効果性を向上するサービスを提供しています。
自社開発のシステムがサービスの主体ですが、積極的に、外部との連携を推し進めており、LINEとの連携や、米国のビデオ面接アプリケーションとの連携など、幅広く事業パートナーを増やしています。
現在、1000社を超える企業の、約39万の職場(店舗・営業所・支店・センターなど)の支援をしており、大手コンビニエンスストアはじめ、日本のサービス産業の大手各社様にご利用いただいており、社会的に意義あるサービスを提供できているのかなと思います。
また今後は、企業向けに加え、働く個人に対するサービス提供も視野に入れています。個人のニーズに合わせた就労機会を提供するに留まらず、「働く」前後左右に発生する様々な人生のイベントに対し、当社が提供し得る価値が何なのか、日々、議論を交わしています。
一般に、非正規雇用といえばネガティブなイメージで語られることが多かったようですが、これからは自らその道を歩む人が増える時代。そういった時代で、個人が働き方にかかわらず豊かになれると言う世界を目指したいと思っています。

HRソリューションズで歩めるキャリア

― 事業の推進の先に、人手不足という社会問題の解決だけでなく、個人の豊かさまで追求していくと。
ここまでで、HR ソリューションズが取り組んでいることを説明していただきました。個人のキャリアとしてはどのような魅力がありますでしょうか?

大藪  当社は、徹底した顧客志向を掲げており、実際に、そのような組織運営を心がけています。当社の営業の仕事は、「何を販売するか?」ではなく、「どんな価値を提供するか?」が起点です。
また、顧客から新しいリクエストをお預かりした場合は、たとえ当社の商品サービスで解決できない問題であっても、「No because(できません、なぜならば…)」でなく、「Yes but(わかりました、ただし時間をください、予算をください、相談させてください…)」と、「Yesで預かってくる」ことを旨としています。
顧客対応は「余計なことを考えず、これだけ、集中してやれ」といったようなマネジメントの企業も少なくありませんが、当社は必要に応じ、国内外のあらゆる企業から解決策を調達し、顧客へ紹介/接続するまでを業務範囲として捉えています。結果的に、自分の知識・力、或いは自社の商品サービスの枠に留まらず、幅と深さを拡げて、経験を積むことができる筈です。
人生には二種類あると言われています。ひとつは、年齢を重ねるごとに選択肢が拡がる人生。もうひとつは、年齢を重ねるごとに、選択肢が狭まっていく人生です。無論、全ての人は、前者の人生を求めるでしょう。では、どうすれば、そのような人生が手に入るのでしょうか。
選択肢が拡がる、ということは、「できることが増える」ということ。できることを増やすには、「できないこと、知らないこと、に挑戦し続ける」ことが必要です。つまり、「No because」でなく「Yes but」な人生を送ることこそが選択肢を拡げていく唯一の道なのです。
HRソリューションズは、従業員の皆さんに、3つの価値を提供します。「機会平等、結果不平等」「裁量と責任」「期待をこめたフィードバック」。
1つ目の「機会平等、結果不平等」。当社は10期連続で増収増益を更新中で、いわゆる成長フェーズにいます。また、HRテクノロジー市場の中で「サービス業」✕「非正規雇用」に絞った戦略を掲げる企業は極めて少ないため、他社が手をつけない領域で、次々と新しい事業やサービスを増やし続けます。つまりは、次から次へと、新しい仕事と役割が生まれ続ける職場と言えます。
例え経験が浅くても、「Yes but」の精神で、訪れた「機会」に対し自らの意思で手を挙げれば、必ずチャンスに繋がります。機会は全ての従業員に等しく訪れますが、手を挙げ、結果を出し、成長とキャリアップを手にするのは、意思の強い従業員です。そういう意味で、「機会平等、結果不平等」という言葉を提示します。
2つ目の「裁量と責任」。就活生の皆さんが重視する、いわゆる裁量権には責任が伴います。先ほども言いました通り、当社には、常に新しい仕事が生まれており、それを積極的に若手メンバーに任せています。
なお「裁量権」と、よく混同されがちな「意思決定権」とは、区別する必要があります。ミッションを定める、目標を定める、ことは「意思決定権」を持つ組織が行います。個人の「裁量権」とは、組織と合意した目標を『達成するプロセス』を、自らの責任で考え、行動し、達成することなんです。「裁量を持つ=責任を負う」ということを理解し、本気でチャレンジしてもらいたいと思います。
3つ目の「期待をこめたフィードバック」。当社は、「非常に風通しの良い組織」です。若手社員でも、直属上長に限定することなく、経営陣から直接、指導を受けることができます。部門・部署をまたがって、いつでも、誰にでも、相談できる組織風土・企業文化があります。顧客との商談も、経営層の方々とお会いする機会が多く、成長の機会となる場面は、たくさんある筈です。
これら3つが揃っている企業は、なかなかないと思います。事業基盤が徐々に整い、今からさらに会社や事業を大きくしようとする時期。そういったフェーズの会社は、多くはありません。
この環境を存分に活用し、一緒に社会課題を解決してくれる人は、是非会いに来て欲しいです。

※初出:en-courage

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